冬眠は、寒冷や食糧不足に耐えるため代謝機能と体温を劇的に低下させて消費エネルギーを節約する驚異的な生存戦略です。冬眠は、哺乳類の一部のみが行うことができ、ヒトをはじめ多くの哺乳類は、こうした極端な生理変化には耐えられず冬眠できません。この驚異的な冬眠の原理を解明することで、移植臓器の長期保存や低体温症の治療、季節性気分障害の新たな治療法の開発などの分野が大きく進展する可能性があります。しかし、その原理はいまだに深い神秘に包まれています。本プロジェクト「冬眠原理の追求とその社会展開に向けた分野横断型基礎研究」は、北海道大学に多数在籍する、冬眠に関連した研究を行う専門家を結集し、この複雑な生存戦略の原理の理解とその応用を目指した共同研究を展開します。
具体的には、小型の冬眠する哺乳類をモデル動物として、冬眠を達成するために必要な低体温耐性や体の変化の分子的な基盤を、遺伝子レベルで理解することを目指します。また、低体温耐性の仕組みや冬季に冬眠できる体になる仕組みを追求することで、将来的な移植医療や救急医療、冬になると活力が低下する冬季うつ症の理解などへの展開を目指します。さらにヒグマなどの冬眠する大型哺乳類の研究を通じて、顕著な筋萎縮や骨量減少を起こさずに何ヶ月も冬眠できる理由の解明を目指しています。これらの研究により得られる知識は、寝たきり、加齢、冬季適応不全などに伴い生じる、QOLの低下を防ぐ方策開発の糸口に繋がる可能性があります。
こうした一連の研究を通して、冬眠という自然界における究極の生存戦略を、暮らしの向上や救命を目指したイノベーションへと転換することを目指します。
プロジェクトメンバー
